「安政から令和へ──飯塚海苔店の歩み」

はじめに
千葉県船橋の地で、私たち飯塚海苔店は、時代の流れとともに商いのかたちを変えながらも、「信用大事に海苔を大切に」という姿勢を守り続けてきました。
その歴史は、なんと江戸時代末期、安政2年(1855年)にまでさかのぼります。
安政二年──質屋「伊勢徳」から始まった物語
飯塚家の商いのはじまりは、初代・**飯塚徳兵衛(とくべえ)**が開業した質屋「伊勢徳」でした。
この「伊勢徳」は、当時の地域社会の中で、人々の暮らしに寄り添う存在として親しまれました。
その精神は、次の代にも確かに受け継がれていきます。
明治の時代──船橋での海苔との出会い
明治34年、二代目・**飯塚栄次郎(えいじろう)**が家業「伊勢徳」を継ぎ、続く明治38年には三代目・**飯塚長十郎(ちょうじゅうろう)**が事業を引き継ぎました。
この頃の所在地は、千葉県東葛飾郡船橋町九日市2533番地。
ここで私たちは、地元・船橋で採れる海苔を取り扱い始めたのです。
豊かな東京湾の恵みと、地元の海苔生産者とのつながりが、今日に至る“海苔屋 飯塚”の原点となりました。
明治45年──海苔問屋としての第一歩
明治36年(1903年)、船橋の地で海苔の養殖が本格的に始まりました。東京湾の穏やかな海と豊かな干潟は、海苔の成育に適しており、漁師たちは試行錯誤を重ねながら生産を拡大していきました。
ちょうどその頃、私たち飯塚家も、地元で採れる海苔を扱い始めていました。そして、明治45年(1912年)、船橋海苔仲買商組合の設立に際して、発起人の一人として名を連ねたことを機に、正式に海苔問屋としての事業をスタートしました。
“伊勢徳”の名で長く信頼を積み重ねてきた商人としての経験をもとに、これからの時代を支える新しい特産品=海苔への挑戦が始まったのです。
この年を、私たちは「飯塚海苔店の創業年」としています。
そして現代へ──つなぐ誇りと挑戦
以来百余年、地元・船橋をはじめとする千葉の海苔産地と深く関わりながら、時代に合わせて焼き加工や商品の多様化に取り組んできました。
現在では三代以上にわたる家業として、「目利き」など伝統の技を大切にしながら、百貨店・イベント・オンライン販売などを通じて、全国のお客様に“飯塚の海苔”をお届けしています。
結びに
飯塚海苔店の原点には、地域に根ざした商いと、人に誠実であることがあります。
海の恵みに感謝し、これからも一枚一枚、真心を込めて焼き上げてまいります。
私たちの歴史、そして今とこれからを、ホームページを通じて少しずつお届けできれば幸いです。